日本政策金融公庫総研の「事業承継」に関する調査から

 2月1日の日本政策金融公庫総合研究所から、「中小企業者の事業承継に関するインターネット調査の概要」が発表されていました。

 

当事務所では、経営者ご自身の年齢、そして会社の年齢自体もお若い お客様も多いのですが、他方で、やはり「事業承継」に悩んでいる企業は多いとの声をたくさん聞きます。

 

回答した企業数は約4,100社ですが、調査結果のなかで注目すべきデータが「中小企業の廃業について」で、経営者の38%が「自分の代で廃業」と思っている、という結果でした。そして、後継者難による廃業予定が28%、事業に将来性がないという理由による廃業予定の回答が27%、と続きます。

 

 

これらはアンケートに、しっかりと回答をした方による結果ですので、言い換えれば、しっかりと”廃業の方針”が明確になっている方が約半数ということになります。

”方針”がしっかりと今後の予定に組み込まれているわけですから、あとは従業員の今後の雇用の手当やご自身の今後の生活保障などを計画していけばよいので、それはそれでO.Kかもしれません。

 

しかし、私が’現場’で見る限り、廃業するのか、あるいは事業を継続するのか、その意志を表に出さない(出せない?)経営者も実際にはたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

 

 

経営者ご自身が起こされた事業は、長く数十年と自分の分身のような存在として、いや、経営者の人生そのものとして、今日まで存在してきてくれた。まるで、ひとつの生命体のように、片時も経営者のそばを離れず、家族や社員の生活を支えてきてくれたかけがえのない存在だと思います。

 

だからこそ、複雑な想いが心によぎるのだと・・・

 

そんなとき、私たち専門家でも、速やかに、経営者の複雑な心情(心の奥)に対して、ささっと”問題解決”することは容易ではありません。

(法律上や税務上のリスクや留意点は、しっかりとお伝えはしなくてはなりませんが)

 

そんなとき、まずは、社長さんに対して、起業のきっかけや、起業当時抱いていた仕事への想いや、軌道に乗るまでのさまざまなご苦労、そして、ご自身が仕事をするうえで本当に大切にしていたことなどをしっかりとお聞きします。

事業価値の存続性や後継者の選択や資質など、多くの不安要素が尽きない「事業承継」ですが、経営者との会話になかで、意外と「解決の糸口」のような要素も 出てくるような気がします。

 

経営者ご自身の価値観にあった今後の方針がご自身の言葉から導かれると、経営者は安心し笑顔になります。私たちは、そんな心に寄り添えるようなサポートも重視しています。

 

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