日本の自動車産業におけるTPP協定の影響は?

 

先月24日に、太田商工会議所にて国際銀ものづくりセミナーにて「TPP協定が日本の自動車産業に与える影響について ~TPP協定の活用と今後の見通し~ 」が開催され、出席してきました。

 

やはり、太田市はスバルの城下町でもあるので、TPPの将来に与える影響は重要!と考え、出席してきました。

なにしろ、TPP交渉参加12か国の経済規模は3,100兆円で、世界全体の4割を占め、TPP経済圏の市場規模は8億人で、世界全体の1割を占めるそうです。。。

 

講師は、弁護士の柴田久先生で、経済産業省に出向され、実際に自動車分野におけるTPP交渉の現場に臨んだ先生です(^^)/。

講義の内容は極めて専門的で、実は、私にとってはやや難解でした。。。(>_<)。

が、分かる限りでここで頑張ってシェアしてみますね~。以下は、当日のテキストから、一部要約したうえで参照しております。

 

<TPP協定の概要>

ⅰ.昨年10月5日、アメリカのアトランタにて大筋合意がなされ、今年2月4日にニュージーランドで署名がなされました。
ⅱ.署名後は、各国の国内手続き(批准・担保法)を経て発効します。日本では只今、法案を準備中。

 

<TPP協定の発効要件>

ⅰ.すべての原署名国が国内法上の手続きを完了した旨を書面に通報し、2年以内に発効というのがベストシナリオ
ⅱ.もしも2年以内にすべての原署名国が通報しなかった場合でも、GDPの合計の85%を占める、少なくとも6か国が通報する場合は、2年目の満了日の60日後または要件充足日の60日後、いずれか遅い日に発効

 

<TPP協定の関税における合意(米国の場合)>

:自動車は25年目に撤廃(15年目に削減開始)、トラックは30年目、というイタい条件(-_-;)
:自動車部品では、即時撤廃(品目数で87.4%、輸出額で81.3%)
:家電、産業用機械、化学では、輸出額の99%が即時撤廃

 

 アメリカ国旗の風車

 

<自動車における原産地規則>

※原産地規則とは、関税削減&撤廃のメリットを受けるため、原産品と認められるためのルールです
ⅰ.12か国のTPP域内の原産地規則の確認の負担が軽減
ⅱ.複数の締結国での付加価値・加工工程の足し上げ(完全累積制度)が可能であること
が特徴ですが、自動車の場合、特別な条項が入っています。
それが、控除方式とネットコスト方式です(計算式は省略)。

 

控除方式による計算では、TPP協定で原産性が認められるためには、域内原産割合が55%以上であることが必要
また、ネットコスト方式では、同様に域内原産割合が45%以上であることが必要、とのことでした。

 

<原産国規則のその他の特徴>

ⅰ.自動車としての完成品の場合
7品目(強化ガラス、車体、バンパー、ドア、車軸など)の自動車部品については、非原産材料の価額の多寡にかかわらず、所定の工程が締約国で行われれば、域内原産割合の計算で、原産性を付与。

 

ⅱ.自動車部品の場合
 自動車部品(特定の14品目)の域内原産割合の計算では、その原材料の所定の工程が締約国で行われれば、その原材料の価額をプラス可。ただし、加算できる割合は5%または10%が上限。
なお、ⅰとⅱの「所定の工程」とは、複雑な組み立て、押出成形、積層、鋳造、複雑な溶接、切削、スタンピング(プレス成形含む)、ダイカストその他これに類する鋳込み成形、熱処理、金属成形をいいます。

 

などなど、私にとっては難しく、かなり専門的な用語が並びました(^_^;)。

即座に、〇〇な影響が出る、という確信はないものの、中長期的には、中小の自動車部品の製造業にも、少なからず影響は出るのではないかと思います。

将来生き残るために、定期的な自社事業ドメインの見直しや、外部情報のアンテナ張りはとっても重要だと思います。

私自身も、今後継続して、勉強を進めていきたいと思っています。

 

 工業地帯の工場