右脳という人間の豊富な資源を有効活用する”六つの感性”

ダニエル・ピンク氏著書の『ハイ・コンセプト』の出版は(日本で)2005年。

私は2016年に購入していたのですが、衝撃的で新鮮な内容だったと記憶しています。

(特に先進国の)人々が豊かに生きていくためには、”六つの感性”を磨く必要があるといいます。

その六つは、「デザイン」「物語」「全体の調和」「共感」「遊び心」「生きがい」

ですが、いずれも個別の論点というよりは

バランスよく人間の感性を掘り起こす要素だと思います。

 

注目すべきは、出版が2005年ということ。

この頃はまだ、AIもスマホも未登場でした。

 

AIはその発展の萌芽は以前からみられるもの、

2010年代から深層学習によってその知能が絶大に向上していき、

2020年代以降、生成AI君が衝撃デビューという経緯がります。

 

一方、スマホは2007年にApple社から初代のiPhoneが発表され、

2010年の初頭からスマホががぐんぐんと普及しました。

 

iPhoneに代表されるスマホや、そして生成AIの登場により(あとコロナの影響もあり)

私たちのライフスタイルや価値観も激変しつつあります。

 

こんな環境の激変下においても、この本の内容はまったく陳腐化するどころか

より重要性(&危機感)を増しているような気がしました。

 

特に<あとがき>に掲載されている3つの自問。

①この仕事は、他の国ならもっと安くやれるだろうか?

②この仕事は、コンピュータならもっと安くやれるだろうか?

③自分が提供しているものは、豊かな時代の非物質的で超越した欲望を満足させられるだろうか?

 

①ですが、より危機であるのは、当の安い国が”日本”になりつつあること。悪い意味で、安い国へと変わり果てていくのでは、と。

②は、コンピュータをはじめ もはやAIでできてしまうところです。コストもヒトが行うより安く済みます。

③は、DXによる業務効率化の果てに何が残るのか?という点になるわけですが、

ここはAIも及ばない人間の能力の分野であるので、こちらをきちんと掘り下げていきたいところ。

『・・・(中略)コンピュータが人よりも速く処理できないような仕事に集中し、繁栄の時代の美的・情緒的・精神的要素に応えられる個人や組織は成功することになる。』

 

やはり、右脳(と左脳)という人間の豊富な資源を有効活用する”六つの感性”を真剣に鍛えねばなりませんね!